第13章 進物 完結編【※冨岡義勇】
だってもしも、全てを見せて、義勇をがっかりさせてしまったら……、「萎えたから、帰る。」なんて言われた日にゃ、もう二度と立ち直れないかもしれない。
もしかしたら、好きな人に裸を見られる時が、一番緊張する時なのかもしれないっ!
そんなことを考えて固まる陽華の姿に、義勇が困ったようにふぅっと息を吐いた。
「わかった。一人で脱ぐのが恥ずかしいと言うなら、俺も脱ごう。」
「え?別にそういうことじゃ……、」
慌てて訂正する陽華の言葉も聞かず、義勇は羽織に脱ぎ捨てると、隊服のボタンに手を掛ける。
ボタンを全て外し、隊服を脱ぎ、中のシャツも脱ぐと、陽華の眼前に、義勇の鍛え抜かれた逞しい肉体が現れる。
「きゃーーっ、義勇さんっ!それは反対に刺激が強いです!!」
均整の取れた肉体美、そのあまりの美しさに凝視することも出来ずに、慌てて目を瞑る。
(こんな身体見せられたら、もっと緊張してきちゃうー!)
良かれと思って脱いだのに、反対に固まらせてしまった。
このままでは埒があかない。義勇はそう判断すると、陽華に問いかけた。
「なら、お前が選べ。このまま続きをするのか、それとも止めるか。」
「えら…べ……?」
そう言われて戸惑う。今からする事が嫌なわけじゃない。身体だって、いつかこうなる日を夢見て、毎日の鍛錬を怠らずに頑張ってきたつもりだ。自信も少なからずあった。
でも、義勇の好みじゃなかったら?
そう思うと、身体が強ばって、勇気が出ない、やっぱり…入念に情報を集めてから、肉体改造して、出直した方が……、
そんなことを思い、戸惑っていると、突然、痺れを切らした義勇が、陽華の両手首を掴んで無理矢理に引き剥がした。
「判断が遅いっ!」
「きゃーー、待ってください!!判断が早過ぎます!!」
陽華が驚いて、身体を少し暴れさせるがすぐに義勇に制される。
「仕方ない。判断が早いのが鱗滝一門の特徴だ。」
「うぅ…先生を恨みます。」
若干恩知らずな発言をしながら、涙目で義勇を見つめる。
するとその次の瞬間、陽華の身体を覆っていた布地がはらりと捲れ、その下に隠れていた陽華の肢体が、義勇の前に晒された。