第8章 指南【※竃門炭治郎】
「俺もっ!陽華に、たくさん触れたい……、」
そう囁いた炭治郎の唇が、優しく頬に触れ、ゆっくりと陽華の首筋に近づく。
(宇髄さんは、女の子はこの状態になると、感じやすくなってるって言ってたけど……本当かな?……この前は、ここに口づけたら、擽ったいって笑ってたけど……、)
半信半疑ながらも、炭治郎は陽華の、浴衣のはだけた首筋に、小さく吸い付いた。
「んっ…、」
その瞬間、陽華が小さく声を上げて、震えた。
(え?今、全然違う反応した?)
そのまま炭治郎は、陽華の様子を確認しながら、舌先を尖らすと、静かに首筋に這わしていく。
「んっ…、ぁん…、」
陽華が身体をもぞもぞと動かしながら、小さく声を上げる。
(うぁ…、声が可愛過ぎるっ!やばいっ…落ち着け、俺っ!!)
陽華の唇から漏れる吐息、声全てが熱を孕んでる。発せられる匂いさえも、前回よりも濃厚で、甘美な物へと変化していた。
(まずい…。今度は、この匂いだけで、どうにかなりそうだ。)
次から次へと降りかかる難問に、炭治郎の心が折れかかる。そんな炭治郎の頭に、天元の言葉が過ぎった。
『お前は、その女に尽くすだけの奴隷だっ!』
(そうだ、俺は奴隷だっ!今は目の前の、陽華に尽くすことだけを考えろっ!)
炭治郎は思い直すと、陽華の首筋に優しく吸い付きながら、陽華の浴衣の帯に手をかけた。
結び目をほどき、帯を抜き取ると、前がふわっと開いて、陽華の白い肌がみえる。炭治郎は前襟に手をかけると、ゆっくり両側に開いていった。
肩まで開いて、手を離すと、後はシュルっと音を立てて、布地が肩を滑り落ちていく。
そこに現れた、陽華の艶めかしい曲線に、炭治郎が興奮したように、息を吐き出した。
「……綺麗だ。」
「そんなに見ないで…二回目だけど…恥ずかしい。それに…綺麗じゃないでしょ?……傷だらけだもん。」
そう言って、手で身体を隠す陽華を、炭治郎の腕が優しく包みこんだ。