第8章 指南【※竃門炭治郎】
(陽華の唇…柔らかい。…うぅ……緊張するなぁ。…でも…大丈夫だ、稽古した通りにすれば、いいんだからっ!行け、俺っ!!)
炭治郎は、掴んだ肩を引き寄せると、教えられたとおりに、最初は優しく、ゆっくりと、唇を啄むように食んでいった。
次第に角度を少しずつ変えながら、上唇、下唇と、順番に吸い付くように唇を重ねていく。
静かな部屋に、炭治郎が出す、チュッチュッと、優しく唇を食む音だけが響き渡る。
陽華はいつもより長い口づけを、不思議に思いながらも、炭治郎から感じる、優しくて暖かい、そして、心地のいい感触に身を委ねた。
(……炭治郎の口づけ、いつもと違うけど、なんか…気持ちいい。)
陽華から、段々と緊張が解けていくのを、掴んだ肩越しに炭治郎は感じとると、片眼を開けて、ちらっと陽華を見た。
(…もうそろそろ、いいか?)
炭治郎は頃合いを見計らうと、自分の唇を軽く押し当て、陽華の唇を割り開いた。そこにスッと、炭治郎の舌が差し込まれる。
「っ…、」
その行動に、驚いた陽華の身体が小さく震えた。
炭治郎は構わずに、差し入れた舌で、口内を優しく舐め回す。唇の内側に舌を這わせながら、歯列を刺激し、さらに奥まで舌を差し込むと、引っ込んだままの陽華の舌を誘うように優しく舌を動かす。
「んぅ…、っ…はぁ…、」
くぐもった吐息が陽華の唇の端から漏れ、炭治郎は自分が興奮行くのを感じた。
だが、陽華の方は、荒い吐息を吐き出すだけで、舌を絡めてくるどころか、身体ごと強張らせて、誘いに乗ってくる気配がない。
(あぁ、駄目だっ!全然乗ってこない。……どうすれば、)
炭治郎は一度唇を離すと、陽華と視線を合わせた。
「ねぇ、陽華、舌を出してみて?」
「舌?」
「そう。…ほら…こうやって、」
そう言いながら、炭治郎がペロッと舌を出した。それを真似するように、陽華も小さく舌を出す。
その舌に、空かさず炭治郎が吸い付いた。
「んっ!」
驚いて小さく声を上げる陽華の舌に、炭治郎は吸い付きながら、その先端を優しく刺激していく。
「んんっ…、んぅ…たん…じ…ろ、」