第8章 指南【※竃門炭治郎】
炎柱邸にて
庭で素振りの稽古をしていた、炎柱・煉獄杏寿郎は炭治郎の話を聞いて、刀を振る手を止めた。
「何!?女性を悦ばせて、満足させる方法か?」
「はい。やはり、女性に人気の高い煉獄さんにも話しを聞いておきたいと思いまして。」
真面目な顔で申し出る炭治郎の横から、善逸がツンツンと炭治郎の腕を突いてくる。
「なぁ、炭治郎。煉獄さんにも聞くなら、どうしたらそんなに女子にも男子にもモテるのか、俺は先にそっちの方が知りたいんだけど。」
善逸の言葉に、炭治郎は一理あると頷いた。
「確かにな。女性の心を掴むと言うことも大切かもしれない。煉獄さん、ご教授お願いできますか?」
「何、そう言う事なら簡単だ!!映画に出るといい!」
「へ?」
驚く炭治郎と本日四度目に目ん玉を飛び出させた善逸の顔を、杏寿郎は満面の笑みで見つめ返した。
「映画に出て、責務を全うすれば、奥様方の心を掴むことが出来るっ!」
「でも、煉獄さん!俺も映画には出てます。」
「だが、君は責務を全うしてないだろう?」
そう言った杏寿郎の言葉に、炭治郎もようやく合点がいったと大きく手を叩いて、頷いた。
「そういうことかっ!それなら……、善逸っ!俺も今から、無惨戦を映画化してもらえるか、交渉してくるっ!!」
「待てっ、炭治郎!今、頼んでも、間違いなく3・4年後だぞ!!今やっと、遊郭編が終わったところなんだっ!!」
そう言って、慌てて止める善逸に炭治郎は思い直して、杏寿郎に向き直った。
「そうだった。煉獄さん、すみません。せっかく助言を頂いたのですが、俺にはそんなに時間がありませんでした。」
「そうか、残念だ!なら今はコツコツと鍛錬に励むといい!」
「はいっ、ありがとうございました!」
そうして、炭治郎と善逸は炎柱邸を後にした。