第64章 ❤︎ 木兎光太郎はスローセックスを覚えた
ゆっくりと一定のリズムで腰を打ち、待ち望んでいた感覚にまた体は欲を満たすために深く繋がろうとする。
「ふぁっ、あ」
紅く色付いた唇から白い歯が覗く。吸い寄せられるように口付けると言葉にならない声が漏れる。
「んっ……、ふ……んっ」
膣内がきゅうぅぅっと締め付けて小さな波のように痙攣を繰り返す。
「すっげ…気持ちいー、何これ」
いつもだったらしがみつくようにがっついて欲の赴くままに抱いていた。なのに今は緩やかな動きなのに強烈な快感が襲う。
「こう…っ、だめ、また私…っ」
けど異変は俺だけじゃなかった。明らかにいちかの絶頂を迎える間隔が短くなって膣内の締まりが強くなる。
「…っ俺の方が、無理ッ」
もう耐えきれずタガが外れたように強く突き上げてしまっていた。膣内の最奥を突くと生暖かい体液が下半身を汚す。
「出るッ…」
腕の中のいちかはキュッと目を閉じていた。最高潮に愛しさが頂点に達した後、溜まっていたものが一気に放出される。
「止まんない…」
吐精した後も膣内は精子を搾り取るようにうねる。この余韻だけでもまたイッてしまいそうで深く息を吸って落ち着かせる。
「いちか、平気?」
「汗、びっしょりになっちゃった」
「俺も」
「シーツ汚しちゃってごめんね。自分でも止められなかった」
「なぁ……、それって気持ちよかったって解釈していい?」
「……うん。すごく気持ちよかった」
「マジで?」
「うん。優しく触れてくれて大切にされてるだなぁって思ったしすごく満たされちゃった」
「俺も。いつもはもっとしたいって二回目どうやって誘おうかって考えてばっかだったから…」
たった一回で満たされるってなかったかもしれない。いちかも気持ちよかったって言ってたしこ無理させることなくできるかなって少しだけ希望が見えた。
「ねぇ光太郎」
腕に擦り寄ってぴっとりと体をくっついてくる。こういう仕草ってマジで可愛くてあかーしには感謝しかない。
「んー?」
「少し休憩したら、もう一回する?」
「………へ……」
間抜けな俺の声がふっと浮いて消える。上目遣いで小悪魔っぽく笑ういちかからの思いもよらなかった二回目の誘い。いちかと俺の中で何かが変わった。奇跡が起こる瞬間を俺は目の当たりにしたのかもしれない。
fin*