第61章 ❤︎ 射精管理 黒尾鉄朗 赤葦京治
「一回こういう意地悪してみたかったの。でももう疲れちゃったから終わっていい?」
「無理無理。俺が無理すぎる」
「それは…」
「じゃあ見ててあげるから二人とも自分でしてみて?」
唾液で濡れた口元があざとく笑う。
「はぁ!?」
この絶望感にいっそ萎れてしまえばいいのに諦めの悪いそれはまだピンと反り返ったまま。
「じゃあせめて口の中で出していい?」
「えー?」
「このままで終われないだろ?」
「仕方ないなぁ。服は汚さないでよ?」
さっきまで俺たちのもの受け入れていた唇がまだ開かれた。真っ赤に充血した舌、歯並びのいい口内が覗く。
「くそ…っ、もうちょっとで俺イけそうだたのに」
「黒尾さんのせいですよ」
「は?なんで?」
別に黒尾さんは悪くない。でもいちかさん以外の誰かにこのやるせなさをぶつけたい。大の男が女性を前に自分で扱きながら射精をする、この現実が滑稽すぎるのに自分の欲には勝てないことが情けなかった。
さっきまでの生温かい感触を思い出しながら想像の中でいちかさんを抱く。上目遣いで見つめる視線、荒くなる吐息にまた熱が集中していく。
焦らされたせいで勢いよく飛び出す精液を上手に舌が受け止め、そして喉を鳴らして飲み込む。
「ごめんね?弄んじゃって…」
何事もなかったかように乱れた髪を直し白い歯を見せて笑う。
この人には敵わない。それだけは確かだ。その一言で簡単に許してしまう俺たちの負けだ。
fin.
このシリーズ、久々に書きたくなったので、次は研磨君で挑戦してみたいなと考えています。