第51章 ❤︎ 彼氏の性癖が歪んでいる件 黒尾鉄朗
その後は項垂れる体をしっかりと支えてくれて、立てない私をお姫様だっこでベッドへと連れて行ってくれた。後処理を終えると鉄朗も私の横で寝そべり、優しく頭を撫でる。
「どうしてもダメ?」
「ダメ」
「最後のあの流れだといいって言ってくれると思ったのにな」
「残念でした。ちゃんと意思表示できた私GJ」
「絶対いちかに似合うと思うのに」
「嫌なものは嫌だもん」
「ああ……。でも諦めきれねぇ」
少し拗ねた表情で枕に突っ伏して駄々をこねるように足をバタつかせた。30を超えたおっさんがそんな我儘になるのは正直可愛い以外の何者でもないけど、それでも嫌のもは嫌、無理。
「ねぇ鉄朗…」
「うん?」
「キスしよっか」
「……へ?」
「鉄朗が可愛いからしたくなっちゃった」
私の意外なお願いに驚いた表情をみせるもゆっくり体を起こし私の目をみてから表情を綻ばせた…
「いちかから甘えたようにおねだりされるのとか俺、超ぶっ刺さるわ…。喜んでキスさせて?」
それは初々しいほどの優しい口付けで鉄朗からたっぷりと愛されてることを実感してしまう。
正直なところ、こんな風に優しいキスの合間におねだりされちゃう方が弱かったりする。つい、いいよって気持ちが緩んでしまうから鉄朗には絶対に言わない。
fin*