第51章 ❤︎ 彼氏の性癖が歪んでいる件 黒尾鉄朗
マンションのテラスで夏の気配を感じるような湿気を含んだ夜風が拭き抜けていく。最近やっと飲めるようになったワインによって火照らされた体をしっとりと包む。
お気に入りの二人掛けのガーデンチェアに並んで座り、テーブルにはサプライズで用意されたであろう恋人からのプレゼントの袋。
何気ない会話を楽しみながら私は幸せを噛みしめる。鉄朗の肩越しに見える真っ暗な夜空に小さく光るお星さまを見つけては永遠に続く幸せをそっと心の中で祈ってみたり。
我ながら乙女だなって思うけど、いつも冗談ばかり言っている私たちにはこんな穏やかな時間がとても貴重だ。
だけどその幸せは数秒後崩壊することになる。プレゼントの中は決して見てはいけないないものだったから……。
「………で、これなに」
「マイクロビキニ」
ふざけんな。