第50章 ❤︎ 何年たっても特別な日は変わらない 岩泉一
「ごめんね。疲れて帰って来てるのに驚かせちゃって」
「いや?サプライズみたいで嬉しかった」
一君の柔らかな表情を見てると本当に喜んでくれてくれてるんだってなんとなく伝わってくる。
「ならよかった」
「…それよりさ、こっち来いって」
自分の膝の上を指さして、ちょんと腰掛けると大きな腕が私を包み込む。二週間ぶりに感じる一君の匂いと体温だ。
「ただいまってまだちゃんと言ってなかっただろ?」
「うん。そだね…」
「お前は言ってくれねぇの?」
背中に感じる一君の大きな体。私のお腹に温かい手がしっかりと添えられている。
「おかえりなさい」
この幸せを噛みしめるように言葉を紡ぐ。
「来年の誕生日は3人でお祝いしようね」
「ああ」
小さな幸せが繋いでいく未来は眩しいくらいに輝いて見えた。
fin*
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