第49章 ❤︎ 甘い夜と嫉妬に揺れる夜 岩泉一
動けなくなったいちかを抱きかかえてソファに寝かせブランケットをかける。飲みかけだった水のボトルは汗をかいてぬるくなり始めていた。
「だめ、余韻で動けない」
「ほら、水飲んどけ…」
「ありがとう。喉カラカラだよ」
乱れた髪とぐちゃぐちゃになった制服。こんな時、いつもなら悪かったって一言詫びるのが常。でもそうはしたくない。
「俺、今日のことは謝らねぇぞ」
子供じみてるって思われても別に構わない。会社の同期であれ無防備に二人きりになっては欲しくない。今思い出すだけでも沸々と嫉妬心は蘇る。
「素直じゃないなぁ」
「素直だろ?」
「またむすっとして…。今になって一にやきもち妬かれるなんて思ってなかった」
「そんなんじゃねぇよ」
「でも可愛いから許す」
「んなこと言ってるともう一回犯すぞ」
「それはお風呂入ってからね。ね、一緒に入ろ?」
「仕方ねぇなぁ」
いちかの体を起こすとそのまま抱き締められる。“私が好きなのは一だけだよ”って耳元で囁いた言葉に急に気持ちは浮つく。さっきまでの嫉妬心がなんだったんだって情けなくなるけど結局は惚れたもんの負けってことだな。
fin.