第43章 ❤︎ 俺はまだ本気出してないだけ 岩泉一
彼氏の惚気自慢や恋愛相談なんて女友達との間ではよくある事。でもそれを本人に聞かれちゃうと少しだけ厄介ってお話。
悲劇の始まりは友達と下校中から…。
「岩泉先輩と付き合ってどのくらいだっけ?」
「えーっと、もうすぐ9ヶ月かな?」
「実際どうなの?岩泉先輩って優しいの?」
「みんな怖そうって言ってるけど実際はすごく優しいよ?基本私に合わせてくれるし」
「彼女にだけってやつ?」
「私、抜けてるところあるし危なかっかしいんだって。だから過保護的な優しさ?」
「…でも岩泉先輩に優しくされたら世の女子みんな好きになっちゃうよねぇ」
「それは断固拒否。ただでさえ先輩と付き合い始めた当初は大変だったんだから」
「だから余計にあんたには甘いんじゃない?」
「あー、そうかも。それはあるかも…」
とまぁここまではよかった。友人がニヤつきながら〝…で?〟と食いつき気味に聞いてくる時は嫌な予感しかしない。
「あっちの方はどうなの?」
「またその話?」
「初めての相手も岩出先輩だったじゃん?あれから半年くらい経つしそろそろ慣れた頃かなぁって思って」
「それ言わなきゃいけないの?」
「私の時めちゃくちゃ聞いてきたくせに」
「だってあの時はまだした事もなかったし色々と興味あったし」
「私だって興味あるよ。あんた、あの岩泉先輩の彼女だし実際はどうなのかなのぁって」
「……まぁ、二人きりで会えばしてる感じ?」
「めちゃくちゃやってんじゃん」
「だって先輩も忙しくてデートとか普段行けないし2人きりになってやる事って言ったらさぁ…」
「私もさー、彼氏と一年になるけど最近慣れてきちゃって物足りない感じ。ねぇ、そんなことってある?」
「…物足りない……ってことことはないよ?」
「何その言い方、なんかあるの?」
「先輩のさー、優しいところが大好きなんだけどね。ほらさっきも言ったけど過保護というか大切にし過ぎっていうか、エッチの時もそんな感じで…」
「物足りない?」
「違…っ、そうじゃなくて。……いちいち大丈夫?って聞かなくてももっと強引でもいいのかなって」
「強引って」
「口が裂けても言えないけど」
「……あんた。結構大胆な子なんだね」
「…だな」