第41章 恋する細胞　岩泉一

「それで？返事は？」
「え？返事…？」
「俺の彼女になるのか、ならねぇのか」
「彼女？…そして岩泉君は彼氏？」
「まぁ、必然的にそうなるわな。俺の彼女になればもう何も言われないだろ？」
「もしかして、それが告白の理由…？」
「それだけじゃねぇよ。好きだからっつってんだろ、何回も言わすな」
「ごめん。だって私の事好きになるような要素ないでしょ？地味女子なんだよ？これ以上は無理だよ、私」
「地味とか関係ねぇから。そもそもお前の事が気になってたから誘ったんだろ？それ以外に理由あんのかよ」
「そう言われると何も返せない」
「だったらどうするのかだけ言ってくれ」
「それは…、付き合うって事？」
「そう」
「…………私でいいの？」
「お前がいいっつってんの」
「私、友だちもいなかったし異性となんて付き合った経験だって当たり前にないよ？どうすればいいの？」
「今まで通りでいいんじゃねぇの？俺だって分かんねぇし」
「…そうか。じゃあ今朝みたいに他の子たちに絡まれるような事があれば私彼女だからって言えるんだ。でもそんな事言ったら次は埋められそう……」
「ああ、それなら先に釘刺しといたから。俺の彼女だから。余計な事は言うなって」
「いつ？」
「部活始まる前。見学に来てたから…」
「ちょっと待って、ついてけない」

これまでの会話、私のいないところで起こっていた事実。私の頭は許容量をすっかり超えてミニトマトのように弾け飛んでしまった。もはや細胞レベルで修復が必要な感じ、ドキドキしっぱなしの心臓は体の隅々まで血液を循環させて体温まで上げている。