第38章 ❤︎ 業の深い生命体 及川徹
「扱い方で分かるよね…。ほんとにエッチが好きかどうかって」
「ん…、そう?」
「結構、我慢してる……、って、え?そこも…!?」
「弱いよね、………ここ」
「ちょ、っと……、そこは、……別の意味でも…っ、あっ、ちょ、」
「……そんなの、知らない」
口に含ませてころんと吐き出すのをひたすら繰り返されて、くすぐったいとはまた違ったなんとも言えない快感に息遣いが荒くなっていく。
「も、う……いいから」
「いって…いいよ?」
そんな甘い言葉につい気を許してしまいそうになるけど、なんとか中断してうるさいくらいに高鳴っている鼓動を落ち着かせる。
「あー……、ほんっとにヤバかった」
「もう…っ、素直にイケばいいのに」
「俺から誘っておいて先にいけないじゃん」
「ないよ、そんなルール」
「俺には大問題なの…」
「でも及川も案外チョロいんだ」
「だって柳瀬ちゃんが上手いから…。さすがというかさ」
「そう?」
「でも今からは俺の番…。横になってする?立ったままする?」
「どっちでもいいよ」
「じゃあこのままで…、壁に凭れててくれる?」
「うん」
「……そんな平気な顔が出来るのも今だけだからね」
「期待してる。…あ、でもキスはなしで」
「…ん、了解」
本当ならもうこのまま最後までしたいって言うのが本音だけど、先に先制点を入れられるのは阻止したけど有効はすでにとられてる。ここから巻き返していかないと俺も立場がないじゃん。
ムードも何もないけど、なければ勝手に創り上げるまで。キスが出来ないのは辛いけど身体への愛撫としてのキスでその気にさせる事くらいは出来る。何も喋らないで時間をかけてひたすらに丁寧に唇を這わす。
僅かに漏らす声だって逃さない。時々目線を合わせながら表情の変化を楽しんで、キスの代わりに耳朶を甘く噛んだ。