第37章 ❤︎ 飽くなき探究心と勇気を持って澤村大地は購入ボタンを押す
※ 性癖とは人間の心理、行動上に現出する癖や偏り、嗜好、傾向、性格のことである(w●kiより)
「いちか、好きだ」
肌を重ねる時は理性をなくさないように。できるだけ甘く、いちかにだけ聞こえるように囁く。これは彼女を抱く時、ちゃんと心から満足できるようにって俺のなりの愛情表現だったりする。
セックスは好きだ。だからこそ好きな体位とか負担をかけない姿勢なんかはちゃんと考えているけど、特別野外でしたいとかコスプレをさせたいとか特に思わないし肌を重ねて同じ朝を迎えるだけで幸せだ。その点で言えば俺は至極真っ当な方であると言える。
1年付き合っている彼女ともレスでもなくそれなりに愛情を育みながら上手くやってきたと思っている。
ただ、ひとつ問題というか解決すべき課題は彼女が淡白すぎる事。行為中、俺に合わせて付き合ってもらってる感が否めない。
「ちゃんと、気持ちいい?」
「ん、大丈夫だよ…」
滴る汗、互いの肌がぶつかり軋むベッドの音。
この状況において“大丈夫だよ”って答えになってなくないか…?
彼女の息遣いは甘い吐息というよりはただの呼吸。マラソン中のように酸素を取り入れるだけの呼吸。全集中のセックスの呼吸とはとても思えない。
これでいいわけは断じてない。