第5章 ❤︎ 三日間ハメまくった記録 黒尾鉄朗
「あーもう!超スッキリ!!」
さっきまであんなに艶っぽく鳴いてたくせに数分間俺の腕で休憩した後は、新しい顔をもらった某あんぱんのキャラクターのように元気100倍!といった感じだった。
「そりゃよかったな」
「やっぱり抜かなきゃねぇ、女もさ」
「…そうだな。俺はお前のそのギャップにビックリだけど」
「何が?」
「いやなんでもねぇけど」
「…あ、ねぇ鉄朗、お腹すかない?」
「空いた」
「インスタントラーメンとかでよかったら作るよ?ってかそれしかないけど」
「全然いいよー。作ってくれんの?」
「うん。してくれたお礼って事で」
「俺もしてもらったんだけどな…」
「じゃあ今度ランチでも奢って?」
「そんなんでいいの?」
「そんなんがいいんだよ」
嬉しそうに微笑みながらすっと立ち上がり大きめのTシャツからすらっと伸びる白い脚が覗く。寝ぐせの髪を手櫛で整えてひとつにまとめる仕草につい視線を奪われそうになって慌てて逸らした。今更なんでときめいちゃってんだよ…と浮ついた気持ちを抑えながらテレビをつけると午前の番組は終わり、昼前のニュースになっていた。
ぼーっとテレビを眺めているといちかはどんぶりが二つ乗ったお盆を机の上に置く。“のど乾いたでしょ?”と氷の入った麦茶と一緒に差し出す。
「おー、サンキュ。これ、サポ一の味噌ラーメン?」
「そう。今冷蔵庫の中何もなくて…。彼さ、真面目だからインスタントとか食べないから私用にとってあったんだけどね」
「へぇ…。今時そんな奴いるんだな」
「だから買い物だって無駄なもの買わないようにって買い溜めもしないし」
「真面目なんだな」
「育ちがいいんだろうね。あ、ラーメンに卵入れる人?」
「入れる。頂戴」
「はい…。丁度ラスト二個だったんだよね。また後で買い物行かなきゃ」
「じゃあ早速夜は奢ってやろうか?」
「いいの?」
「俺もお礼…、しねぇとな?」