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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第30章 ❤︎ 恋に落ちる条件 松川一静


「今日も可愛いんだ。徹の彼女が…」

教室の窓に肘をついてはぁっと短いため息をつきながら一点を見つめる。視線の先には及川と最近付き合い始めたと聞かされた彼女の姿。仲良くベンチに腰掛けて彼女が作ったであろうお弁当を広げている。

「ねぇ松川。私も少し前まではあそこにいてさぁ、世界一幸せそうな顔して笑ってたんだよ。知ってる?」

そう、俺の目の前の彼女はつい二ヶ月前までは及川の隣で彼女として笑っていた。

「知ってるよ」
「なのに今はさ、こっから眺めてそっと見守り隊に徹してるんだよ。未練がましくさ…」
「そんな事言ってて虚しくならない?」
「なるよー。でもこうやって吐き出さないともっと虚しくてさ」
「だったらやめれば?ヨリ戻す可能性もないんだろ?」
「見てよ、あの徹の笑顔。ヨリ戻すなんて希望は皆無だよ。…ああ、ほんと羨ましすぎて吐きそう…」
「……重症だな」
「徹が好きすぎて辛いっていうよりは、私もあんな風にラブラブな時もあったし徹と付き合ってる優越感で満たされてたなぁって」
「それで?」
「なのに今はこうやってストーカーみたいに追いかけて、彼女のSNSまでチェックして情けない。もう情けなさすぎて吐きそう」
「精神的にやられてるな、相当」
「そう…。今日なんかやけにリアルに気持ち悪くって」
「大丈夫?…ストレスなんじゃない?」
「ほんとにね…。……食欲も全然ないし」
「……重症だな」
「………や、ちょっと待って、ヤバイ…」
「どうした?」
「…ほんとに、吐きそうになってきた」
「え?大丈夫?トイレ行く」
「うん。……いぐ…」

今にも吐きそうって勢いで口を手で押さえながら教室を出て行く。一人取り残された俺はこのままってのも気になってすぐに追いかける。

廊下には他の生徒たちの賑やかは笑い声が響く。トイレから数メートル離れた場所でスマホを見るフリをしながら待機してちらちらと視線を送っていた。
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