第25章 ❤︎ 黒尾先生との逢瀬
放課後の空き教室で俺は深いため息をついていた。
学年でも数学の追試は一人だけ…。それもよりにもよって彼女であり生徒でもあるいちか。一番前の席で何故かニコニコとご機嫌な様子で俺を見つめている。
「お前なぁ…。追試なのになんでそんな笑顔なんだよ」
「残念だって思ってるよ?でも難しかったんだもん」
「それはないだろ…。お前以外追試いないんだぞ?」
「じゃあ私のテストだけ特別難しかったのかなぁ」
「テスト前にこのページやっとけば追試回避できるっつったでしょうが!」
「うん!言ってた!」
「うん!って元気な返事ありがとう!じゃなくて、俺今忙しいの。知ってんだろ?」
「だって先生なかなかつかまんないし部活も試合前で忙しいし、こうでもしなきゃ会えなかったんだもん」
だからってこんな無茶苦茶なやり方は褒められたもんじゃない…。
「なら素直にそう言えって…。追試になったら成績にも響くの分かってんの?」
「分かってる。でも学校じゃ会っても当たり障りのない会話しかできないし、ちゃんと話したかった」
「……そりゃ悪かった。俺もいちかの事は気になってたけどかまってやれなかったもんな」
「かまってくれなさすぎて暇すぎて余裕で浮気できちゃうくらいだよ?二人くらいから告白されちゃった」
「あ?」
「嘘、浮気は冗談…。告白は本当だけど」
「お前ね…。告白って誰よ?」
「他校の子と二年生の子。興味ないからちゃんと断ったけど」
「へぇ。意外とモテんだな」
「モテ期きたかも。だって先生としてからかなぁ…?友達にも雰囲気変わったねって言われちゃった。色気でも出てきたたのかな?」
「そういうことここで言うのやめなさいね。誰に聞かれてるか分からないんだし」