第4章 ❤︎ AVレンタルしたら店員がクラスメイトだった 宮侑
「お客さん、いつの間にか帰っちゃってたね」
「バレてるかもしれんな」
「ええんちゃう?別に見られててもお客さんにはラッキーハプニングかも?」
「上級者しか言えんな…。そんな台詞」
「けど楽しかったやろ?」
「楽しかった、ってか、気持ちよかった」
「素直でよろしい」
あんな濃厚な時間を過ごしたとは思えないほどさっぱりしてる。こういうの慣れてんのかって変に勘繰ってしまうけどそれ以上踏み入れてもあかんような気もする。
「あ、そろそろお兄ちゃん帰って来るかも」
「ほな俺もそろそろ帰ろ」
「明日、学校で会うと照れちゃうかもね」
「せやな」
エプロンを羽織って身だしなみを整えるとまた髪の毛を一つに束ねる。数十分前と違うのは柳瀬さんの頬がほんのりと紅潮していたことくらい。カウンターに置きっぱなしのレンタル袋を俺に手渡して“ありがとうございました”と微笑む。
「ほなまた明日」
「うん、また明日ね」
“したくなったらまた来てええよ?”
手を振りながら笑ったその表情が忘れられない。例えそれがリップサービスやったとしても、彼女がおってもそんなん関係なくこの店の常連になるのは不可避やな。
fin*