第20章 ❤︎ 年下男子の本気 及川徹
「へぇ、そうだったんだ…」
「結構単純な話でしょ?」
「そうかな?ロマンチックだなぁとは思うけど」
「それだけ?」
「…心配しなくてもちゃんと嬉しいよ。いつもの歯の浮くような台詞だって嬉しいって思ってる」
普段はこんなに素直には言えないけど、今日は徹の優しさに甘えちゃってるのかな…。
「歯の浮くようなって失礼な…」
「だって私はそんなに好きだよ…とか言えないもん」
「でも俺の事ちゃんと好きなんでしょ?」
「それはそうだけど…」
「それならそれでいいよ」
「そんなのでいいの?」
「俺と一緒にいてくれるんだからそれだけで俺は幸せだから」
“ねっ”と笑ったあと、私の右手は暖かな左手にしっかりと繋がれている。ふと見た徹の横顔はいつも以上に頼もしくて彼となら大丈夫だって確信に変わっていく。
「絶対結婚しようね、いちか」
「……姐さん女房でよかったら、お願いします」
「もちろん、喜んで」
俯きはにかみながら胸いっぱいに感じる幸せを噛みしめる。
いつか、貴方の隣で笑っている私に会えますように…。
柄でもないけど今はそんな事を願わずにはいられなかった。
Fin.*