第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「そんなこと言わなくていいから。無事に卒業もできたんだからそれでいいじゃない」
「聞かされた時は驚いたけどね」
「ほんと色々ごめんね?……でもあれから鉄朗も京治君にはよく連絡するんだ。こっちまで来てくれるなんて珍しい」
「黒尾さんの優しさだろうね」
「京治君とはいつの間にそんなに仲良くなったの?」
「あれから俺たちも色々あったからね…。それに元々気が合うタイプだったから」
「…へぇ、そうなんだ。また今度聞かせてよ」
「それは内緒。男同士の秘密…」
「そうなの?それは残念……。でも私もちゃんと大人になった姿、鉄朗にも見て欲しいな」
「俺も俺も」
「木兎さんは何も変わってないでしょう?」
「だって俺パッパになったし!なぁ、なっちゃん」
「あ、そういえばそろそろ母乳の時間だった。船つく前にちょっと授乳室行ってくるね」
「あ、俺も」
「光太郎はここで待ってて」
「大丈夫。俺が邪魔しないように見張ってるから」
「お願いね、京治君」
赤ちゃんは機嫌良く光太郎に抱かれている。どちらかと言えば私に似ていてよく泣いてよく眠る子で“なつき”と名付けたのは光太郎だった。
彼女が迎える初めての夏はきっと幸せに満ちた日々になるだろう。
夢に描いていた笑い合える夏の日がもうすぐそこまできてるから…。
fin*
(長い話になりましたがお付き合いありがとうございました。エモなど反応頂けた嬉しいです^^*)