第4章 ❤︎ AVレンタルしたら店員がクラスメイトだった 宮侑
俺は今、男にとって天国と言える場所にいる。
連れから聞いてん。未成年でもAVをレンタルさせてくれる店があるって。駐車場からして過疎ってる雰囲気のその店は店員のお兄さんが俺をちらっと見ただけで通してくれた。そして恐る恐る18禁と書かれた暖簾をくぐるとそこはもうモザイク天国だった。
「夢の国か、ここは…」
この店が人気のない理由は最新作の品揃えの悪さらしいけど、初めて入るアダルトショップを前に俺はそんなこと気にならないくらいに興奮してた。連れから借りた内容不明のDVDじゃなくてパッケージで自分好みの女優が選べるこの喜び。俺はじっくり品定めをしながら5枚程手に持ってレジへ向かった。
「いらっしゃいませ」
仮にも年齢条件は満たしてない身の上、さっと借りてしゅっと出る。想像の中では完璧やった。なのに……女の声?
「……あれ?」
「へ?」
「……もしかして、宮君?」
なんで俺の名前知って、って恐る恐る視線を上げると……………、見覚えのある顔。
「同じクラスの、柳瀬さん…?」
「うん、正解」
にこっと笑い歯並びのいい白い歯をみせて俺もつられて愛想笑いを浮かべる。けどそんなに話す仲でもないし笑顔を向けられた記憶もない。
「なんでこんなとこおんの?めっちゃびびった」
「それは私も」
「なぁ、ええん?ここ一応大人の店やろ?」
「宮君も知ってると思うけどこの店年齢確認せぇへんやろ?さすがに制服姿とか明らかに中学生って分かる子は断るけど高校生くらいなら通してる。内緒やけど」
「まぁ俺も人のこと言えんけど。柳瀬さんはここでバイト?」
「ここお兄ちゃんのお店なん。お兄ちゃんが席外してるときだけ私が店番」
「大丈夫なん?ほら、女の子一人やし」
「基本的には常連さんばっかりやし」
「そうなんや。それやったらええけどまぁ気を付けて」
「ありがと。あ、これ、レンタルやね」