第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
昨夜は楽しくてついつい夜更かししてしまった。あんな風に語り合ったのなんて久しぶりだったし、素直な気持ちで同じ時間を分かち合える事が嬉しかった。
だけどこの島にいられるのも今日と明日だけ…。伝えたいことはちゃんと伝えなきゃいけない、意を決して一階へ降りると光太郎さんの姿はなくて、今は外出中とのことだった。
今日は確か一昨日に行った沢へ行く約束をしていたし、用事が終わると連れて行ってくれるのかなと思い返しながら縁側でしばらく過ごしていた。
「もう少しで帰ってくると思うから待っててやってね」
おばさんが私にと麦茶と採れたてのミニトマトをテーブルに置きながら優しく微笑む。よく見れば笑った顔は光太郎さんに似ている。
「いつも仕事中なのにいつもすみません」
「いいのよ。また秋にかけて釣りのお客さんが増えるし今くらいじゃない?ゆっくりできるのは」
「私も秋くらいにもう一度ここに来れたらなって思ってます」
「そうなの?それならいちかちゃんの部屋はとっておかないとね」