第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「大学の夏休みって9月まであるんだ。だからもう少しこっちでいれないか相談してみようかなって。でも宿泊の延長ができないなら告白してから帰る」
「告白するのは決めたんだ」
「うん…。結果はどうであれちゃんと好きなら好きって言わないと後悔しそうだったから」
「いいんじゃない、それで。…俺は応援するよ」
「ほんと?」
「お似合いだと思うから」
「そう言ってくれるだけで嬉しい!ありがとう、京治さん!」
いちかさんが島に来て木兎さんは明らかに嬉しそうだった。実際、俺の店に来ては可愛い可愛いと連呼してたし嫁に来てくれねぇかなぁ…と何度も言っていた。いくら訳ありだったとは言えたった数日で恋におちる事なんてあり得ないと高をくくっていたのに、まんざらでもなさそうな様子のいちかさんに驚いていた。
いちかさんの表情を見てその決心は固いこと、木兎さんのいちかさんへの想いも俺には分かっている。だから二人が結ばれるのは時間の問題だと思っていた。
今日の酒がいつもよりもずっと美味しく感じるのはこ、の二人の行く末が幸せな方向へと向いている事が俺にとっても嬉しかったのかも知れない。
「おーい、ビール飲もうぜぇ」
そんな声が遠くから聞こえてくる。いちかさんはまた嬉しそうに木兎さんへ笑顔を向けた。
夜空を彩る星座も少しずつ変化を見せて移りゆく季節を知らせる。
もうすぐ、夏が終わる。
next.