第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「人間にとって害のある虫は駆除しなきゃいけないけど、それ以外の虫はむやみやたらに殺す理由もないからな…。嫌だ嫌だって言ってた人も案外慣れていくもんだから」
「……うん」
「でもどうしてもダメだったら呼んで?」
「ありがとう…」
「今日さ、なんか予定ある?」
「特には…。ちょっと海の方に行ってみようかなって」
「なら釣りしねぇ?」
「釣り?」
「俺午前中空いてたらか釣りでもしようかなって」
「私もしたことないんだけどいいの?」
「教えてあげるから。浜釣りだから危なくないし」
「行く」
「じゃあ飯食って支度できたらまた声かけて?俺、この辺の水やりしてるから」
「うん、分かった」
ここに来てから気分が沈むことなんてなかった。階段を駆け上がるように私のテンションもどんどん高まっていく。こんなにわくわくしたのは初めてだった。
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