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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎


朝食前に浴室でシャワーだけを借りて部屋に戻る。まだ7時前だから朝の空気も少しひんやりしていて気持ちよかった。縁側から見える畑、そのずっと奥で光太郎さんが水やりをしている。縁側に腰を下ろして髪をタオルで拭きながらしばらくずっとその光景を見ていた。

蝉の鳴く音と風の吹き抜ける音が聞こえてくる、決して静かではないけどここにいるだけで安らげるような時間だった。

「やだ、…なにこの虫」

ふと何かを感じて周りを見ると黒い物体が目に入る。もぞもぞと動く足が沢山生えた得体の知れない虫。

「え、やだ。きもちわる」

奇妙な物体は10㎝くらいはあるだろうか。割と虫は平気な方だけどこの物体は無理すぎる…っ。

「光太郎さん!変な虫が……」

どうしようと思う前に咄嗟に声を出していた。私に気付いてくれた光太郎さんは水を止めてこちらに慌てて走ってきてくれる。

「どした?」
「変な虫が……」
「虫…?」

指さす方をちらっとみると“ああ、こいつか…”っといった様子で近くに置いてあった箒を手に取った。

「こいつはゲジゲジな?」
「へ?ゲジ…?」

なにその名前。このビジュアルにぴったり過ぎて気持ち悪い。

「こんな見た目でも益虫だから出来るだけ殺さないでやってくれな?」
「そうなの?めっちゃ毒持ってそうだけど」
「ないない。こんなでもこいつはゴキブリとか食ってくれるやつだから結構いいやつなのよ」
「いい奴…?」
「見た目が悪いからって殺される可哀想な運命なんだよ……、ほら、あっちいってろ」

器用に箒でさっと掃きながら草むらへ追いやってくれて胸をなでおろした。

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