第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
「お前な、やり方が汚ねぇんだよ」
「ごめんごめん。こうでもしないとそのまま連れて帰っちゃいそうだもん」
「そのつもりだったわ」
「でしょ?だから強引にことを進めたの」
「ったく。なんでわざわざこんなとこに連れてくんだよ」
「ここで二人にデートしてもらおうと思って」
「はぁ?」
「ここさ、完全個室の露天風呂があるんだよ。だから混浴デートってどう?」
「混浴?え?」
「あ、もちろん俺抜きでね。もう二人でって予約してあるし」
「お前はどうすんだよ?」
「え?いちかと二人きりで入っていいなら俺が行くけど?」
「ふざけんな」
「やっとさぁ抱えてた仕事が終わったからさ、自分へのご褒美。肩もバキバキに凝ってたし俺もリフレッシュしたくて元々予約してたんだよ。言っとくけどここ出来たばっかりだからなかなか予約とれないんだからね」
確かに先生の言う通りこのスパが人気なのは知ってるし、3か月前でも予約もとれないって聞いた事はあった。ということは本当に自分のために取った予約をわざわざ私たちに譲ってくれたのかな。
「じゃ俺はメンズエステとマッサージの時間だから。また後で」
と今日の日付になっている予約表を見せつけて“ごゆっくり…”そう言い残して受付に向かっていった。
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