第9章 ❤︎ 真夜中のプロポーズ 澤村大地
だけどさぁ?………。ブツブツモード、長くない?ちょっと長すぎるよね。私は“ふぅ…”と一息ついてから自分でもびっくりするような低音で大地君に問うた。
「……で、するの?結婚?……4年前のプロポーズ、忘れたとは言わせない」
5年以上一緒にいれば可愛いだけの自分ではいられない。もはや脅しに聞こえてもこの瞬間のために。私の想いが届いたのか“結婚”の二文字に反応したのかは知らないけどパッと顔を上げた大地君。
「忘れてない!幸せにする気持ちも変わってないから!」
私の手を取って叫んだ大地君はいつになく真剣でかつてバレーをしていた頃の熱い眼差しを私に向けてくれた。
「結婚しよう。できるだけ早く。式はすぐに挙げられなくても籍だけでもいれよう」
「急がなくてもいいよ。左手の薬指は4年前から予約済でしょ?」
「ならちゃんとした指輪買うから。明日からでもバイトして、俺も頑張るから」
「ありがとう。その気持ちだけで十分嬉しいよ」
「絶対に幸せにするから。まだいろいろ実感ないけどでもその想いだけは本物だから。………結婚しよう」
「………はい。よろしくお願いいたします」
一生懸命な大地に私の胸は期待と希望に満ち溢れて、最上級のしあわせを私は手に入れることができたとそう感じた瞬間だった。
でもさ、ここラーメン屋さんだったね。
おじさん達ガン見してるね。
ちょっと…、恥ずかしいね。
fin*