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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


「一君」
「ん?」
「一応、今日が付き合った記念日ってことでええかな」
「まぁ…、そうだろうな」
「いつもみたいに否定せん…。やっぱ夢やろか」
「だから夢じゃねぇって」
「だめや、まだ信じられへん。ここ監視カメラとかないかな?あったらデータ欲しい」
「いらねぇよ、んなもん」
「でも…、証拠。何かの時に突きつける証拠が欲しい」
「怖ぇよ」
「一君になら詐欺られても訴えたりせぇへんけど」
「……いちか。ちゃんと好きだから、それでいいだろ?」
「それ録音するからもう一回言うて」
「言う訳ねぇだろ」
「じゃせめてもう一回だけキス…」
「一回だけっつったの誰だよ」
「一回も二回も変わらへん」
「無理。俺が無理」
「えー?なんでなんで?」
「無理なもんは無理なんだよ」

さっきのは勢いでしてしまった感あったし、改めてしろとか言われたら恥ずかしくてできるわけねぇ。迫ってくるいちかから逃げるように後退りしてるといいタイミングで呼び出しが入る。

「チッ…、ええとこやのに」
「女が舌打ちすんな」
「まぁええわ。私が一番欲しかった夢、やっと手に入れたから。死ぬまで離さへんから」
「急に豹変すんな。せっかく可愛…」
「え?」
「なんでもねぇ」
「今、可愛いって言いかけへんかった?」
「気のせいだろ」
「絶対可愛いって言いかけた!」
「空耳だ。つか、もう行けって。みんな待ってんだろ」
「もう…。私のソロの写真とかええのに」
「引き受けたんなら最後までちゃんとしろ」
「はーい。………ほな、行ってくるね」
「ああ…」
「あ、帰ってきてさっきの冗談とか笑えんこと言うのなしやから」
「言わねぇから。ちっとは信用しろ」

一応、お前の彼氏なんだがら…。って言葉が浮んでかき消すように飲み込んだ。でしゃばりな意識が体がかぁっと体を熱くさせて気不味さが込み上げてくる。

「じゃあまた後でね」
「おう」

それでも嬉しそうに微笑む表情を見るとまた甘い感情が熱と混ざり合う。

「一君、大好き。いつか本当の花嫁にしてね」

そう言い残してドレスを気にしながらくるりと背を向けた。ふわふわと漂って消えてしまいそうな純白にもう一度、会いたい、いちかを見送りながらぼんやりと考えていた。
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