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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一



≫信介side


まだ6時前やというのに蝉がうるさく鳴いていた。夏休みに入ってすぐの日曜日、本当なら朝のランニングを終えて朝食を食べている頃。けど今日は予定が違う。まだ寝ぼけ眼の双子を連れて俺は駅へ向かっていた。




新幹線で約4時間、やかましい双子を連れてはるばる仙台駅まで連れてくるのはなかなかだった。まだ小学生の方がちゃんとしてんで!静かにせぇ!…ってツッコミするのも正直飽きた。けどこいつらみたいにはしゃぎたい気持ちも分かる。

初めて東北の地に降り立つ。見慣れない駅の構内を抜けると刺すような日差しに目を細めた。今日も猛暑日予想で快晴、湿度は50%といったところだろうか。約束の時間まであと数分。俺は逸る気持ちを抑えつつ指定された待ち合わせの場所へと向かった。

侑「ついに来ましたね、北さん」
治「ここにおるんですね、いちかさん」
侑「見つけたらそのまま拉致して連れて帰りましょう」
北「何言うてんねん、今日はただ会いに来ただけやろ?」
侑「えー?連れて帰りましょうよ!」
北「気持ちは分かる。けどそんなん言うたらいちかを困らせるだけやから今日はいつも通り楽しもうや」
治「そうっすね。あんだけ意思固めて単独でこっち来たんやから俺らが何言うても」
侑「やっぱ無理かなぁ…。あーあ、こうやって時間かけて来ると離れてんやなって感じるなぁ」
北「新幹線乗るだけであんだけ騒いでたくせに。帰りもやかましかったら途中で降ろすからな」
侑「分かってますって。朝はテンション高かっただけですって」
治「待ち合わせってここでええんですよね?」
北「多分。もろた写真もここやしな」
治「あ、もうすぐ着くって連絡入った」
侑「ああー!もうちょっとで会える!テンション上がってきたぁぁ!!」
北「静かにせぇ。ただでさえお前ら目立つんやから」
侑「でも目立ってた方が見つけやすいでしょー?」
治「そういうことちゃうから。北さんの言う事聞かんと強制送還されんで」
北「そういうことや」

二人を騙させた後、見慣れない景色をしばし楽しんだ。ずっと知ってたはずのいちかは俺の知らんとこで一人で生活してる。そんな現実を突きつけられた気がした。
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