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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


「ねぇ一君…。私、他人から友達くらいには昇格したかな?」
「面倒くさい聞き方すんな、お前も…」
「だってこんな風に話せるのが嬉しいんだもん」
「他の奴なんて初めから名前で呼んでただろ?」
「そうだけど一君は特別。今が友達なら次は友達以上恋人未満。いつか恋人になってそして最終的には嫁の座を手に入れる。これが私の野望」
「野望って表現するか普通…」
「何年も片想いだったからなぁ。もう夢とか生ぬるいもんじゃないのかも。だから野望っていうのが合ってるのかな」
「生ぬるいもんじゃないとか怖ぇわ…」
「あ、そろそろお湯が沸くかな…?コーヒーの準備するね。君はブラックだよね?」
「ああ」
「じゃあちょっと待ってて…」
「悪いな」

いつも母ちゃんがいるし二人きりっていうのもあるんだろうけど、敬語じゃなくなった途端に距離がいちかの存在がすげぇ近くに感じていた。

ソファに寝転がって天井を見上げて初めて会った時のことを思い出す。いちかがこっちに来てまだ二ヶ月とは思えないくらいに濃い時間だった。

「一君、お誕生日おめでとう」

お盆にはカットされた苺のケーキとコーヒー。“おめでとう”のフレーズでやっと実感した誕生日。大袈裟なご馳走や飾りや誕生日の蝋燭がなくてもそれだけで十分で、自分の誕生日が嬉しいとか久しぶりに感じていた。

「サンキュ…」
「一君のにとっての17歳が素敵な一年になりますように……。私、一君が大好きです」
「やめろ。そういうの慣れねぇし恥ずかしいから…」
「一君が17歳のうちに私を好きになりますようにって思いながら言いました。もう呪いみたいなもんです」
「お前なぁ…」
「今はまだその願いは叶ってないけどこうやって普通に話ができて楽しく過ごせてて私、幸せです」
「そりゃ何よりだわ」
「ゆっくり願いを叶えます」
「まぁせいぜい頑張れ」
「はい…」

嬉しそうに笑ってケーキを頬ばる。ケーキが余程美味かったのか何なのかは知らねぇけど世界一幸せそうって顔してた。290円と書かれたケーキ。なかなか美味いじゃねぇかよ。
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