第7章 ❤︎ 堅治君だって\ちゃんと/反省できるもん 二口堅治
≫堅治side
気がつけば午後からいちかの姿が見えなかった。飯の時も具合悪そうだったし泣いてたって青根の言葉も引っかかっていた。
いやでも泣くか?あれくらいのことで…。とは思いつつもずっといちかのことを考えて気になっててさすがにこのままじゃマズイかもなんて俺らしくないことを考えていた。
いつも誰よりも早く来て練習の準備をしてくれてんのにボールもスコア板もそのまま倉庫の中だった。
「二口!」
「何すか?茂庭さん」
「いちかちゃん大丈夫なのか?今日休みって聞いてたけど」
「あー、そうなんすか?」
「そうなんすかって心配じゃないの?お前、仮にも彼氏だろ?」
「そうですけど。まぁ昼ん時食欲ないとは言ってたから早退でもしたんじゃないですか?」
「お前なぁ…」
「だって俺には何も言わなかったし」
「柳瀬さん、泣いてた…」
「うわ、何だよ青根…っ」
「青根、それほんとか?」
青根は無表情のまま頷く。いや、無表情というよりめちゃくちゃ睨まれてる?
「だからそれは青根の見間違いだって。あいつはそう簡単に泣くような奴じゃないって」
「電話しろ」
「何で?大丈夫だって」
「いや、ここはちゃんと話した方がいいよ。もし繋がらなかったら只事じゃないと思う」
「えー?今から部活なのに」
それでも渋る俺を見兼ねたのか、ズボンのポケットに入れたままのスマホを取り出して勝手にロック解除をする青根。何で俺のパスワード知ってんだよ…。
「電話しろ、今すぐ」
「いやもうかけてんじゃん」
フォローするとか苦手だしなんて言えばいいんだよ…そう思いながらもスマホを受け取る。だけど繋がった先はいちかの声ではなく“おかけになった番号は現在電源が入っておりません”という音声ガイドだった。