第7章 ❤︎ 堅治君だって\ちゃんと/反省できるもん 二口堅治
「柳瀬さんになんかした?」
「は?弁当貰っただけだけど?」
「泣きそうな顔してた」
「いちかが…?気のせいだろ」
「目が赤かった」
「青根の気のせいだって。だって俺、あいつの泣いた顔なんて何年も見てないし…って何だよその顔」
「多分、泣いてたと思う」
「だぁかぁらぁ、お前が心配しなくてもいちかは俺のもんなんだし。心配しなくてもあいつは俺から離れねぇよ」
ドア越しに堅治のバカ笑いが聞こえてきた。きゅっと胸が痛む。
なんだよ、それ…。私が堅治にベタ惚れだったら何を言っても何をしてもいいわけじゃない。私だって私だけを一番に見てほしい。他の女の子なんて見てほしくない。
心配してくれた青根君が廊下に来て声をかける。
「大丈夫か?」
「青根君…」
「顔色が悪い」
「うん、そうだね。気分悪くなっちゃって」
「俺も保健室まで付いてく」
「ううん、大丈夫。階段降りてすぐそこだし一人で行けるから」
「でも…」
「ごめんね。ほんと大丈夫。でも堅治には何も言わないで。今は少し一人になりたいから」
引き留める青根君を振り切るように背を向けた。青根君の優しさに甘えちゃうとその場で涙腺も崩壊しちゃいそうだったから。
堅治のことを考えれば胸は痛いし何となく脈も早くなってさっきよりも気分が悪くなってきた。階段を降りるのもやっとで保健室の先生にも顔色が悪いと驚かれたしすぐに横になるようにって寝かされてしまった。