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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


夕食風呂も終わると騒がしい宿舎を抜けて夜風に当たる。合宿も三日目ともなれば騒がしいのはただイライラするだけで涼しい風が心地よくあ体を冷やして静かな時間を過ごしていた。

宿舎の中庭へ続く廊下から何気なく外を見るとベンチに人影が見えた気がした。よく見るとそれは柳瀬の姿。このまま通り過ぎようかとも思ったけど昼間の話が気になって何となく放っておけなかった。

「何してんだ?」

俺が近づいても気付く様子は全くなく俺の声にビクッと体が跳ねた。

「やば…っ」
「やばって何だよ、聞こえてんぞ。消灯時間過ぎてんじゃねぇの?」
「あ、なんだ一さんか…。あーびっくりした」
「こっちもびっくりしたわ。何してんだよ、こんなとこで」
「少し遅めのもぐもぐタイムです」
「もぐもぐってお前…、もう21時だぞ?」

よく見れば手には食いかけのおにぎりと自販機のお茶。飯食ってねぇのかよ…。

「実は夕食、食べてなくて…。食べる時間はあったんですけど他の人たちとはなんか馴染めないし気まずくて。片付けしてる間にこそっとおにぎり作って持ち帰ってたんです」
「なんかあったのか?」
「ないですよ」
「だったらなんで一人で食ってんだよ」
「無理に話を合わせるのが面倒だっただけです。明らかに敵意剥き出しな先輩もいますけど気付かないふりしてますし」

まるで他人事みたいにあっけらかんとしていておにぎりを頬ばる。

「敵意剥き出しってどういう事だよ。平気なのか?」
「全然平気です。むしろ一人の方が気楽だし。こんな時間に食べちゃう炭水化物って背徳感があって最高ですよね」
「太るぞ?」
「じゃあひとつ食べますか?残ってたご飯全部おにぎりにしちゃったから」

ベンチに置かれたタッパーの中には三角のおにぎりがラップに包まれて並べられてあった。
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