• テキストサイズ

(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第2章 ❤︎ 幸郎「寂しいって素直に言えばいいのに」 星海光来


八月も半ばのとある1日の終わり。もう夕方になるというのに蝉の声はまだ鳴き響いていた。駅前はお盆前の帰省ラッシュで普段より人の流れも慌ただしい。いつもなら避けて通るけど今日だけは誰よりも先に進みたい。幸郎と二人、人混みをかき分けて改札口へと向かった。

私と幸郎、そして今は恋人でもある光来は幼馴染の仲だった。高校最後の夏、光来は長期のユース合宿に選抜され束の間の遠距離を味わっていた。私もバレー部のマネージャーとして忙しい毎日を送っていたけど光来のいない日々は当たり前に寂しかった。

「もうすぐ電車来る?」
「予定だと後2分」
「もうすぐ会える…。どうしよ、ドキドキしてきた。ねぇ、今日の格好変じゃない?」
「別に変じゃないと思うけど…」
「可愛い?」
「今日もいちかはちゃんと可愛いよ」
「全ッ然気持ちがこもってないから嬉しくもないけどありがと」
「じゃあ聞かないでよ」
「だって一応幸郎も男だし参考にしとこうと思って」
「でも俺と光来君とは好みのタイプが違うけど」
「細かいところはいいの。ざっくりでも可愛ければいい」
「何それ。だったら聞く意味あるの?」
「あるの!幸郎って昔からほんと細かいよね」
「褒めたのに怒られる…。俺って損な役回りだな」
「いいじゃん別に」
「よくないよ。光来君に会えなくて寂しかったのは分かるけど俺に当たらなくても」
「幸郎、彼女いるじゃん。私たちみたいに遠距離でもないし」
「遠距離って行っても夏休みの間だけでしょ?」
「一ヶ月も会えなきゃ立派な遠距離恋愛だよ」
「実際はまだ二週間…」
「なんか言った?」
「いや、なんでも…。でもたった二週間なのにそんなに会いたいもんなの?」
「当たり前でしょ?幸郎なんかよりも私の方がずっと会いたかったんだから」
「それは妬ける話だね」
「あ、ねぇ、電車きたよ。あれかな?」
「みたいだね」

構内へと続く改札口からも電車が見えた。もうすぐ会えると思うと胸が高鳴る。光来の休みはたった二日間。とはいえ待ちに待った再会。数秒後にはあの笑顔に会える。
/ 1037ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp