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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


≫花巻side


俺は一人焦っていた。明後日から始まる連休。それは地獄の合宿の始まりでもあった。5日間の合宿、部員及びマネージャーにとってもそれは地獄である。普段の業務に加え食事の準備、マネージャーだけでは到底こなせない業務だった。とういうことはレギュラー以外のメンバーが必然的に犠牲になるのは明らかで、一年の時の地獄を考えれば今年こそは回避したいというのが本音だった。

「誰かいねぇかな…」

そんな独り言を返してくれる奴もなく俺は適当に校内を歩いていた。渡り廊下から見える中庭には生徒が数名。その中でベンチでポツンと座っていた子が目に入った。

あれ?あれって確か岩と話してた子だよな…。前は速攻でマネ断れたけど、ちょっとした手伝いなら案外いけるかも?ってか望みなくても手当たり次第に当たってみなきゃ俺がヤバいのよ。そっと近付きできるだけ嫌悪感を抱かれなようにいつもよりも低姿勢で声をかけた。

「ごめん、今、話しかけていい?柳瀬さん、だよね?」
「はい。…確か花巻、さん」
「そう、正解。同じ学年なんだしマッキーって呼んでくれていいよ」
「それはちょっと遠慮します」
「そこ、断るんだ。…まぁそこは別にいいけど」
「何か用ですか?」
「うん、何してんのかなって思って」
「日向ぼっこしてました」
「一人で?」
「はい」
「そっか。…ここいいよね、日差しが気持ちよくて」
「そうですね。それで声をかけたんですか?」
「急なんだけど、連休?って暇?」
「暇ではないです。予定もないですけど」
「ははっ。どっちだよ、それ」
「自分時間を満喫です」
「なるほどね。じゃあダメもとで聞いてみるけど、バレー部の合宿の手伝いとかって無理かな?」

なんで柳瀬ちゃんに声をかけたかって理由は完全に俺の勘なんだけど、“バレー部”って言葉にかすかに表情が変わったのを俺は見逃さなかった。
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