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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


急に話し方を変えて柔らかく微笑む表情に心臓が高鳴って食いかけのサンドイッチを落としそうになった。なんか一瞬だけ特別に見えてその後でじんわりと胸が熱くなるようなそんな感覚。

「これ食ったら帰るからな」
「はい」

最初に感じた嫌悪感はもうなくて自分が思ってる以上にあいつに馴染んでるような気がした。でもそれが周りにまんまと乗せられているようで気に食わない。母親の浮かれた様子を想像するだけで面倒臭い。元々素直な性格でもねぇしやっぱ苦手だ。

「鍵、ちゃんと閉めとけよ」
「はい」
「じゃおやすみ」
「おやすみなさい。また明日」

結局30分以上もあいつの家でいてしまった。月と外灯が照らす僅かな道のりで不意に立ち止まれば俺に見せた笑顔とTシャツ姿。そういやあいつの着てたTシャツに“思い出なんかいらん”って書いてたけど、あれ、どっかで見たことある気がするんだよな。それがなんだったのかは思い出せない。

そして思い返していけばあいつの生の肌の残像が浮かぶ。そりゃ俺も男だし興味ないわけじゃねぇしドキドキすんのも仕方ねぇけど、浮ついた気持ちの後にはあのトラウマのような思い出と嫌な感情が襲ってくる。

すっかり振り切って乗り越えたって思っても、まだ忘れられないみてぇだな。


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