第71章 ❤︎ 彼女のお世話係な彼氏岩ちゃん
「ごめん。せっかく洗ったのに」
「急に抜くからびっくりしちゃた」
「なんか色々とやばくて」
「そんなに気持ちよかった?」
「まぁな…」
「よかった」
「洗うぞ」
「うん…」
胸元の白濁液をシャワーで流して冷えてしまった体を温める。徐々に戻ってくる理性を持ってしてでもシャワーで濡れる髪の毛、ほんのりと紅い頬と唇にまた気持ちが揺れる。束の間、他愛もない話に意識を集中させ、ほんのり桃色になった体に新しいバスタオルを巻いた。
「これでいいか?」
「ううん、まだ」
「なんだよ」
「ねぇ、私もしてほしい」
「何を?」
「指だけでいいから」
「は?何言ってんだよ」
「だって一だけずるいもん」
「お前が勝手にしたんだろ」
「そうだけど、なんか私もしたくなった。ね、足には負担かけないからいいでしょ?」
「つったってどこでだよ」
「私のベッド」
「2階だぞ」
「だからぁ、ベッドまで抱っこしてってくれたら問題ないじゃん。一なら余裕じゃん」
「はぁ?」
「一だけ気持ちよくなって狡いと思わない」
この言葉の方が狡いだろ。先手を取られてる分、引くに引けない。いちかがそれ分かって言ってることも分かってる。
「お前には逆らえねぇな。……分かったよ」
「いいの?」
「けど最後までは絶対しねぇからな」
「うん。じゃあ部屋連れてって」
「ちゃんと拭いたのか?」
「多分」
「まだ足元濡れてんだろ」
「そんなのいいから。はい、もう一回、抱っこ」
バスタオルを巻き直したいちかが両手を広げる。この展開は正直苦笑するしかいないけど、応えるようにいちかの体を抱えて持ち上げた。
「こうやって一にくっついてたかったの」
くそ、また可愛いこと言いやがって。うっかりそう言いかけた口を噤む。落ちないようにとしっかりと体を抱き抱えて廊下から階段まで移動する。