第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
「大切とか、そんな風に言ってくれるんだ」
「好きだから、いちかの事が」
「どうしよ。今、まだがぼんやりしてるから、本気にしちゃいそう」
「していいよ」
「だめだよ。しばらく恋愛はしないって決めてるから」
「なら本気にしなくていいから。心のどこかに留めておいて」
「分かった。私、今、モテ期きちゃってるのかなぁ」
「そうなんじゃない?俺には魅力的に見えるよ」
「ありがと。松川の口が上手いとこ、私も好きよ」
「そりゃどうも…。あ、そういえば及川、ちゃんと避妊した?」
「んーん…、多分してないね。中では出されなかったと思うけど」
「マジか…」
「でももう生理予定日だし大丈夫だとは思うよ?」
「家帰ったらあいつらに言っとく。しばらくはいちかに触れるのは禁止って」
「それなんの権限?」
「元カレの権限」
「それ効力あるの?」
「元カレって立場でいるのも今だけだから」
「あら…。ねぇそれって今は深く聞かない方がいい?」
「どっちでもいいよ、俺は」
「じゃあ今は聞かないことにしとく」
何があっても優しく包み込んでくれる松川がいてくれてよかった。他の二人にはこんな恥ずかしいところ見られたくなかったから。どんな顔して及川に会おうって憂鬱だった気持ちが少しだけ軽くなった気がした。
「ねぇ、松川」
「何?」
「今夜は一緒に寝ようよ。私の部屋で」
「セックスあり?」
「なし」
「了解」
「あと、あんまり及川を怒らないであげてね。元はといえば私も悪かったんだから」
「それは了承できない」
「えー?」
「ってのは冗談だけど、反省はしっかりしてもらうから」
「そうだね」
「もう少しで家に着くけどそれまでは横になってて」
「うん、そうする」
自粛疲れを発散したいのも分かる。宣言が明けたからはっちゃけたいのも分かる。でもまだまだ警戒態勢真っ最中なわけであって開放的になりすぎちゃだめなんだ。そんなことを考えながら見慣れた夜景を見つめていた。
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