第8章 休息
まだまだお腹の空いている私と不死川サンは…
「不死川サン、おはぎどうぞ。」
と私がおはぎを差し出すと不死川サンはゆっくりと手に取り、綺麗に半分に割ると、
「食えェ。」
と言って私に差し出してくれる。
「ありがとうございます。美味しい。」
不死川サンにお礼を言いおはぎを頬張る私を不死川サンが嬉しそうに見てきて恥ずかしい。
続いて、
「不死川サン、桜餅もいかがですか?」
「アァ、一つもらう。」
と言って桜餅を食べる不死川サンを今度は私が見つめていると、
「何見てんだァ。どんだけ、腹減ってんだァ。」
と私の目線に気づいた不死川サンにそんなことを言われてしまう。
(いや、不死川サンを見たかっただけで人が食べてる桜餅をも奪いたいわけではないですよ。)
と思いながら、私も桜餅を一つ手に取り味わった。
ひとしきり食べ終え、
「不死川サン。私、胡蝶様にお水もらってきますね。」
と告げると、不死川サンは無言で私の腕を掴み行かせてくれない。
結局、そんなこんなしているうちに、怪我人の不死川サンと任務明けの私はそのまま、蝶屋敷のふかふかなお布団で寝てしまうのだった。
数時間後、不死川サンの容態を確認しにきた胡蝶様に、
「不死川さん…、何をしているんですか…。」
とおでこをピクピクさせながらちょっと怒られることを、私たちはまだ知らない。