第7章 夢の中の君ー実弥sideー
おはぎをひとつ食べ終わった俺は、花耶に、
「お前も食べろォ。」
と皿に乗ったもう一つのおはぎを差し出す。
コクリと頷いておはぎを美味しそうにたべる花耶に見惚れてしまう。さっき、変な夢を見たからか。
「あのヨォ…。」
「不死川様、どうしました?」
「その不死川様って言うのやめねぇかァ。任務中じゃねぇだろォ。」
「は、はい。」
どうしても夢で見たことが気になる。
人の夢の話なんぞ普通話されても困るよなぁと思いながらも、もう我慢できねぇ。
「さっきまで、変な夢見ててよう。」
「変な夢ですか?」
「アァ。さっき気がついたばっかで記憶が曖昧だから夢じゃねぇのかも知れねぇが…。」
花耶に左腕を見せながら、
「これを巻いてくれたのはお前だよなァ。」
「はい。」
「ンで、そのあと俺は意識を失った気がしたが、その時俺のこと呼んでたかァ。」
「はい。私、動揺してしまって不死川サンのことすごい呼びかけました。」
「アァ。で、ここからは俺の夢かもしれねぇんだが…。その時、昔のこと思い出したとかおはぎ食いたいとか…す、好きなヤツと…。」
そこまで言うと、“どんな夢を見てるんだ”と怒られるんじゃねぇかと思ったのに、花耶は、急に真っ赤になって、
「え、え、私…。それは、言ったつもりなかったんですけど、何で知ってるんですか?」
と必死に聞き返してくる。
「夢じゃなかったのかァ。ンで花耶チャン、なんの話だァ?」