第6章 Season 1 後悔
「……またそうやって強がる……。それが慧さんのよくないとこだよ」
裕も諦めたように、ふっと息をついた。
「でも……俺、また懲りずに慧さんのこと抱くよ?……俺、結構独占欲強いみたい。さっき、慧さんが嫌だったって言ったときちょっと安心した。慧さんは治さんのお嫁さんだってわかってるのに、なんかとられた気がして悔しいから。法律上だったり、世間の目から見て、慧さんが治さんの奥さんなのは仕方ないけど、身体と心の一番奥んとこはもう返せないから」
いいよね?と裕は私の目を覗き込んで、私の胸の真ん中を指差した。
「うん。……でも裕、本気になるのは反則、だよ。私もがんばって割り切ろうとしてるんだから」
私は、裕の言葉を嬉しく感じながらも自分にも言い聞かせるようにそう言った。
「……そう、だね。ごめん」
「うぅん、嬉しかったから。でも聞かなかった事にはしとくよ。忘れないけどね」
「りょーかい。……じゃあ今日はもう寝ようか」
立ち上がり、裕と別れた。
全部、受け止めなくちゃなんない。全部、受け止めよう。
私はただ、幸せになりたいだけなんだ。
ただもう、私のなかでいろんなことが壊れ始めている。
だから、その壊れた中から幸せを見つける事は、そう簡単ではないことなのだろうけど……。
それでも、私はその道を選んだんだ。