第5章 Season 1 ふたり目
乃々の帰るーは眠たかったかららしく、順さんに抱かれて眠っていた。
そのまま、乃々がしばらく寝れるようにリビングの隅に子供用の布団を敷き、そこに寝かせてもらった。
そっと乃々をおろして振り返った順さんは、
「あのさー……、聞きたいことと言いたいことは山ほどあるんだけど……。あきれて全部は言えそうにないわ」
と、乃々から少し離れた場所に胡坐をかいた。
「慧ちゃん、ここ来て座んなさい」
「……はい……」
溜息をつく順さんの前に、うつむいて正座をした。
「紘も」
「えー、俺もー?」
紘は嫌そうに顔をしかめて私の隣に胡坐をかいた。
「あのねぇ、いくらなんでもあんたたち、調子にのりすぎじゃない?」
うぅ……。確かにそうかもしれない。
「特に紘!!あんたが一番悪い」
「何で俺ー?」
「なんでこんな時間にあんたがここにいるのよ。今日仕事は?」
「さぼった」
悪びれもなく返す紘。
「馬鹿じゃないの?だいたい、子供を人に預けておいてエッチする?普通」
「ごめんなさい……」
「それから慧ちゃん、あんた今朝気をつけなさいって言ったのに、更にキラキラ増してどうするのよ!」
「あぁぁぁ、すいません、すいません」
「あんたら、罰として、次の慧ちゃんの生理が終わるまで触れ合い禁止!」
「えー」
不貞腐れる紘。
「えー、じゃないの。我慢しなさい」
「触れ合いって、キスもー?」
「……」
「だめに決まってんでしょ?あんたがキスだけで抑えられるやつだとは思わないわ。仕事さぼるくらいだもの」
「前は我慢できたよー」
「いーい?ちょっとは反省しなさい。まぁあたしが蒔いた種のようなもんだから、これ以上は言わないけど……」
順さんは、本気では怒ってはいないようで、割とあっさり説教を切り上げてくれた。
「あと慧ちゃん、今日の夜、覚悟してなさいよ。バシバシこき使ってあげるから」
「はいぃぃぃっ」
「じゃぁ、もういいわ。あーなんかすっごい疲れた。むかつくし。今日はこのまま慧ちゃんのごはん食べて一緒に仕事出るから。あたしも乃々と寝るわ。邪魔しないでね」
と乃々の隣に寝転んで、順さんは寝息を立て始めた。