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私と彼らの生活

第4章 Season 1 きっかけ


順さんがうちに来る日になった。

夕方、順さんはチビたちにお土産ー、と嬉しそうにドーナツを買ってきてくれた。

風呂上りだった娘たちは、それに食いつき、中途半端に食べ終わると、満足したのか疲れきったのかそのまま寝てしまった。

この時間に家にいるのは、今日は紘と裕だけだった。翼はバイトがあったし、拓は合コンがあるから遅くなると言ってた。

だけど順さんは、裕と紘がいれば十分よ、と笑った。

紘に寧々を抱っこしてもらい、私は乃々を抱き上げて寝室まで運ぶことにした。

無事運び終えると、肩の荷が下りた気がして、ふっと楽になった気がした。

「紘、ありがと。ごめんね、重たかったでしょ?」

「いんやー大丈夫だよー。だって俺多分慧だって抱えられるよ?」

笑って返してくれる。

「いや、それは無理だし」

「無理じゃねーよ?やってみる?」

「断る!私重いから!!」

言い合いながらリビングに戻ると、順さんと裕が談笑していた。

「あら、大丈夫だった?相変わらず可愛いわね、あんたんとこの娘」

あたし、嫁にもらってあげるわよ、と順さんが笑った。

「あげませんー」

言いながら、私も座ると、

「んねぇ、今日ってお酒は呑まないの?」

「……呑みたいですか?」

「えー、だって、そのために夜来たのよ?呑まなきゃ盛り上がんないじゃないっ。ほら、裕、お酒だしてよ。あたしがさっき持ってきた袋の中に入ってるから。途中でいっぱい買ってきたの」

はいはい、と裕が立ち上がる。私はすかさずその裕の後ろについていき、自分は冷蔵庫からノンアルコールの缶を取り出した。

「……慧さんって、極端」

そんな私の姿を見て、裕が思わず噴き出した。

「だって、また記憶なくなっちゃったりしたら、裕たちに迷惑かけちゃうじゃない?」

膨れて言い返しながら、私はその缶を持って戻った。

「え?慧ノンアルコールじゃん、それ」

気づいた紘が驚いた顔をした。

「いや、あの……。こないだ裕たちと呑んだときに、ちょっと調子に乗りすぎて、私記憶ぶっ飛んじゃったんだよね……。しかも裕たちにめちゃめちゃ迷惑かけちゃったみたいだし……」

ちょっと反省してるんだよ、と返すと、

「いや、別に迷惑ではなかったんだけどね。つか記憶なくなったのって、翼のカクテルが原因な気もするし……」
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