第3章 Season 1 尋問
今日は、裕が早めに帰ってきている。
そういえば、ずっと下りてきていないな、とは思ったが、寧々も乃々もリビングにいて別に邪魔をしていないのならいいか、と目に見える範囲にいるのを確認すると夕食の準備に取り掛かることにした。
先日幼稚園のお料理教室があって、そこで教えてもらってきた料理をしようかと、もらったプリントを探した。
ないなー、どこに置いたっけ?とあっちやらこっちやらを見ながらうろうろしていると、
「ただいまー」
声が聞こえてきた。翼だ。
その声に反応した寧々と乃々が走ってリビングを飛び出し、翼を出迎えに行った。
そして、翼の両手をそれぞれが引っ張りながら戻ってきた。
「おかえりなさい、つばさっち」
「ただいまですー」
とりあえず顔を見て声をかけると、私はまた、ないなぁとプリント探しを始めた。
「何か探してるんですか?」
荷物を置いて、翼が気にしてくれたから、
「んー、こないだ料理教室に行ったときに教えてもらったのを今日作ろうかと思ったんだけどねー、もらったプリントが行方不明になっちゃってて……」
まだゴソゴソと探している私に、
「そういえば、行ったっていってましたねぇ。どこだろう……」
翼も一緒になって探してくれようとした。
「わぁっ、いいよいいよ。大体は作り方判るし、見つかんなかったらどっか本で似たようなのを探すから」
こんなことに疲れて帰ってきてる翼の手を煩わせるのもなんだと思い、探すのをやめることにした。
「そうですか?んじゃ、後で手伝いにきますね」
とりあえず、いったん部屋戻ります、と翼は荷物をまた抱えると2階へと上がっていった。
「ついてったら駄目だよー」
すかさずついていこうとする娘二人に釘を刺すと、
「えー。ネネ、つばさっちとあそびたいのにぃー」
「ののたんもー」
二人でぶーぶー言いながら、またそのあたりで遊び始めた。