第3章 Season 1 尋問
みんなと呑み会をした日から、一週間が過ぎた。あれからは特に変わったこともなく、またいつも通りすごしている。
はじめは、やっぱり3人の様子がおかしいな、とは思っていて、呑み会のときに何かあったのかと、翼に聞いてみたのだけど、すいません、ごめんなさいの一点張りでまったく教えてくれなかった。
裕や拓もその話にならないようにしてくるし。
彼らが一体何を隠しているのかは知らないが、だんだん聞き出すのも面倒になり、私もそのことは忘れることにした。
紘は、相変わらずあまり帰ってこず、一週間のうちに顔を合わせたのはたった一度。
前に順さんとの呑み会がわかったら教えてくれと話したので、それが明後日になったということはメールでとりあえず伝えておいた。
治さんは、この一週間の間に一日休みがあって、その日には珍しく子供を連れて少し遊びに出てくれた。
私も一緒に行ったのだが、いつもよりも少し穏やかな気持ちで時間をすごせた気がする。
相変わらず会話は弾まなかったけれど……。
治さんと、それから寧々や乃々といっしょにいるとき、傍からみれば普通の家族に見えるんだと思う。
でも、私の目から見るほかの家族は、違う次元できらきらした時間をすごしているように見えた。
家族がみんな仲良くて、楽しそうで……。とにかく「隣の芝は青く見える」状態だった。
多分本当にそういう状態で、我が家だってそんな悪くない、はずなのになぜか心が曇って、重たくなって、なぜかうちばかりがつらい事を背負い込んでいるような気になるのだ。
もう考えない、割り切ろう、振り切ろう、と何度も思って頑張るのだけど、結局はカラ元気のカラ回りで終わって、一人で疲れてしまう。
悪循環。
治さんと話し合ったりしなかったわけじゃない。
ただ、彼も忙しいし、私も変な時間に仕事をしてるし、お互いにすれ違う部分が多く、心の余裕もなくて、相手の要求を受け入れてあげれていないのも事実。
根本的な部分が直らなければ多分、本当にこのまま仮面夫婦が続いていくんだろうな、と思った。
そして、何もかもがまた変わらず元に戻って流れ始めている。
だから、私の中の靄も相変わらず同じような大きさで漂っているのだった。