• テキストサイズ

私と彼らの生活

第9章 Season 1 苛立ち


思わずふぅっと溜息をついてしまっうと、

「なにー?終わったん?我慢大会」

しばらくテレビを見ていた拓が振り返って茶化してきた。

あぁ、そう言う風に見えてたんだ……。

急にものすごい脱力感を感じてしまった。

「な、慧さん、やっぱりつばはドエロじゃったろ?」

「僕のどこがドエロだよ!ただ抱きついてるだけじゃん」

むぅっと頬を膨らませる翼。絶対に数日前とキャラが変わっている気がする。

「ねぇ、つばさっちって昔からこんな子?」

「……うん。割と。今までずっと慧さんの前で猫かぶってたから、いつボロがでるのかなーって、実はみんなで賭けてた」

裕が笑った。

「おめーは、あれだよな。いつも子供に見られちゃうから、今回はそう思われないようにってがんばったんだよな。よく半年ももったよ、えらいえらい」

紘が翼の頭を撫でた。

「ちょっともーやめてよ。もう僕子供じゃないんだから」

「おー、だったらそうやって人前で過度なスキンシップとるのやめねーとなー」

紘と翼は10くらいたぶん年が違うんだったと思う。

いつごろから知り合いなのかは知らないけど、かなり幼いころからなら、ずっとこうして可愛がられて成長したからこんな風になってしまったのだろうか。

やっぱりかわいいなぁと思いながら見ていると、

「しっかしつばもおもしろいやついねー。お酒飲むといっぱいキャラがでてくるの、慧さんしっとる?」

と拓が聞いてくる。

「うん。この間、酔っ払って帰ってきたときに見た。すっごいべたべた今みたいにしてくるつばさっちと、何かすっごい上から目線のえらそうなつばさっちと、あとは、すんごい優しい、私がよく知ってるようなつばさっち。まさか酔ったときにわりと素のつばさっちが出てきてるとは思わなかったけどね……」

言いながらちらりと翼のほうを見ると、睨むような目で私を見ていた。

「まだそんなもん?そっかぁ。本当はもっといっぱいあるんじゃけどね」

「へぇー。じゃ、いつかまた見る機会があるかな」

私はそう言いながらちらっと時計に目をやり、立ち上がった。
/ 143ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp