第4章 ヤクザと生贄彼女
私を睨みつけながら、勝ち誇ったような顔でほくそ笑む。
「てか、あんたさっきあれだけ忠告してやったのに、まだ懲りてないわけ? あんたみたいな地味女が、左馬刻さんの隣歩くとかありえないから」
明らかな敵意を向けられ、私はこの場から早くいなくなりたくて、左馬刻さんを見る。
「あの、私先に帰りますね。荷物、ありがとうございました」
そう言って笑うと、左馬刻さんの目が鋭くなる。
「あぁ? お前、何言ってんだ。つか、テメェ何人のもんに勝手な事抜かしてやがる。そもそもテメェ誰だ? 俺様に気安く触ってんじゃねぇ、臭ぇんだよ。テメェの方がありえねぇ。あんま調子こいてっと、沈めんぞ、このクソアマ」
腕に絡みつく女性を睨みつけ、赤い目がスっと細められる。
左馬刻さんは腕を振り払い、私の手首を掴む。
「さっさと歩け、腹減った」
ありえないといったような顔で、目を見開いて怯えながらも、悔しそうにしている女性には見向きもせず、左馬刻さんは歩き出す。
引っ張られるように、自宅に着いた。
「あの……さっきの人……よかったんですか?」
「あんな香水臭ぇ女、知らねぇよ」
イライラしながら、タバコに火をつける。
ソファーにドカッと座った左馬刻さんを横目に見ながら、とりあえず食材を仕分けして行く。
「さっき、お前がボロボロだったのは、あの女が原因か?」
ボタンが取れて、足を擦りむいたくらいだから、ボロボロという程でもないけど、確かにあの人が原因なわけだけれど。
私が言い淀んでいると、それを肯定と取った左馬刻さんは、黙ってしまった。
仕分けが終わったので、調理に取り掛かる。
「……っ!?」
食材を洗って、次に切る工程辺りで背後に気配がしたけれど、振り向く前にお腹に左馬刻さんの腕が回って、後ろから包まれる。
「あのっ……包丁っ、危なっ……んっ……」
「俺の事は気にせず、続けな……」
「そんな、のっ……出来なっ……あっ……ン」
首筋にキスから甘噛み、手は胸を揉んだり、服の上から先端を爪で刺激され、手が止まる。
「おら、手休めてんなよ……」
震える足に、必死で力を入れて立ち、出来る限り調理に集中しようと頑張る。
「もう濡れてんじゃねぇか……マジで淫乱だな、お前……」
「ゃあぁっ……」