【名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした。
第10章 〜届ける為に、響かせる為に【原作6年前】〜
遡ること二か月前、今年の二月の上旬頃。秋に公開を予定をしているミステリードラマがあって、事務所に私が主役を演じてほしいとオファーを頂いた。そして更にドラマを彩る曲を歌わせて貰える機会も頂き、プロの人とも話をしながら作詞する事になったのだ───
物語は両親を犯罪組織に殺害された少女が公安の協力者となり、自分の担当の刑事と共に真っ当に復讐を果たす感動の本格ミステリーだ。少女は暗い過去によって組織へ激しい復讐心を燃やしており、何とか真っ当な方法を使って自身で報復を遂げたい。そう思った矢先にギフテッドとして有名な自分の元に、組織を追っている公安警察からの協力者要請が来たので担当の刑事と共に頭脳を駆使して組織を逮捕していく話になっている
因みに少女は無表情で冷静ながらも情に熱い一面があり、激しい辛口コメントが多いツンデレ女子高生だ。やがて少女は正義感が強くて面倒見が良い若手の男性刑事に心を開き、年が近いのもあって兄妹のような相棒になっていく。そんな二人を中心として犯罪組織を潰すお話だ
このドラマには二人の名言が多くある、例えば…-
───「罪を憎んで人を憎まず、そうは言うが聖人君子みたいな奴はそういない……。怒りや憎悪は見方を変えれば、大事な何かを今でも愛する慈しみの情だ。真っ当だろうが邪道だろうが、復讐なんて突き詰めれば案外どっちも変わらん」───
この作品は色々シビアで、正義や悪とは何だろうかと考えさせられる内容だ
現実に凡ゆる理由で犯罪を行う者がいるが、それが純粋な悪意であるなら兎も角、当人にとって生活や思想、感情も限界だったとしたら。他の手段や真っ当な生き方を捨てる覚悟があり、何かの為に罪を犯しているのだとしたら……
ならばきっと、どんな真逆の言葉も結局、二律背反なんだろう
警察の役目は国家・国民を護る為、『桜』を背負って法律の元に犯罪を取り締まる。それを仮に社会的『正義』とするなら、『悪』とは個人や団体による『正しさ』の暴走なんじゃないか。純粋な悪意で行動を犯した者なら、言葉を尽くして否定しよう。理性の枷では耐えきれないほど何かを想う者なら、そんな彼らの行動を罰しはしても、抱える感情の全てを否定したり出来ない……
そして色んな苦悩を抱える誰もが真っ当な人生を捨てず、ドラマの主人公の様な思想を持てたなら……