第5章 ─ わすれじの ─
「旦那様!お帰りなさいませ!」
いち早く玄関が開く音に気付いて、待機していた私は笑顔で両手を広げてみる。
ただいまのぎゅーしてください!
西洋では頬に口付けをするのが日常だと佐渡さんに教えてもらい、早速実践してみる。
でも、ヤチヨさん達もいるから、ここは百歩柚って抱擁で我慢することにした。
ニコニコと両手を広げる私に旦那様は頭に「?」を付けて、とりあえず頭をなでなでしてくれる。
………期待したのと違うのだけど、まぁこれはこれでいいか。
身長差から丁度いい位置にあるらしい、私の頭って。
ほわんと顔が緩む。単純だなぁ。
相変わらず子供の扱いされているようで、嬉しいけど悔しい。
もう少し大人な展開を求めたい所存です!