第4章 ─ いまはただ ─
───思いの外、早くその時が来たのかもしれない。
佐渡の言葉がいいきっかけとなった。
長い夢から覚めたように、揺れる決意を言葉で固めていく。
「にもいい相手を見つけてやらないと」
この得体の知れない感情が大きくなってしまわない内に、手放せなくなってしまう前に、この花のような少女を……然るべき誰かに渡さなければ。
「お嬢様のお気持ちは無視ですか」
「……それがの為だよ」
再びに視線を戻して額にそっと触れた。
これくらいは、許されるだろう。
「おやすみ。」
静かに呟いて立ち上がると、佐渡の元へ向かい障子の戸を閉めた。